「花と竜」1962年
火野葦平の原作「花と龍」(新潮社版)を「人生劇場 飛車角と吉良常」の棚田吾郎が脚色し、「昭和残侠伝 唐獅子仁義」のマキノ雅弘が監督した任侠もの。
撮影は「妖艶毒婦伝 人斬りお勝」の飯村雅彦が担当した。
明治後期の北九州を舞台に一介の港湾労働者が次第に男を上げていくさまを綴った火野葦平の小説を、石原裕次郎の主演で映画化した、日活の任侠アクションものの先駆的作品。
作品紹介・キャスト
【ストーリー】
明治三十年代の大陸を相手に景気が出始めたころ、北九州の港湾には人間のあらゆる欲望がぎらぎらと沸き立っていた。そうした門司港へやって来た二十六歳の玉井金五郎。がっちりした体躯、精悍な眼差しは野望に燃えていた。早速とび込んだ博打場で、彼はたちまち着ている物まで剥ぎ取られる破目になったが、壷振りの女が「いつかあたしに彫らせてね」と囁いた。その時女の袖口から、牡丹に蝶の刺青が真白な腕にくっきりと浮き上っているのが見えた。浜尾組の仲仕となって働くようになった金五郎は次第に頭角を現わしていった。そのころ北九州一帯を襲った上海コレラにもびくともしない彼を、女仲士のマンはいつか想うようになっていた。人一倍勝気なマンが、いま旭日昇天の勢力を持つ吉田磯吉親分の客の望みをはねつけたことから、吉田の子分達に襲われた。すぐさま抗議に乗り込んだ金五郎は、素直に謝まる吉田の豪放な男らしさにひどく恥じ入り、その夜門司を出奔して若松に出た。金五郎とマンは永田組に落ちついたが、彼はここでもたちまち名を上げ、アル中の親方の代りに組の采配をふるうようになった。連合組の親方達と温泉へ慰安旅行に行った時、金五郎はあの蝶々牡丹の女お京と遇った。一週間ほどして帰って来た金五郎の肌には、菊花を抱いた竜の刺青が鮮やかに躍っていた。永田組と友田組は荷役仕事の縄張り争いにしのぎを削り、連日血を流さなければ収まらなかった。こうした中に永田は引退し、かわって金五郎の玉井組が誕生した。玉井組の勢力が次第に大きくなり金五郎の名が重々しい貫禄を加えていくにつれて、友田組や通称ドテラ婆さん、島村ギン達の厭がらせも烈しくなっていった。そして金五郎念願の仲士組合がやっと結成式にまでこぎつけた夜、ギンの子分角助から果し状が届いたのである。折から降りしきる雪の中に、身体をもって組合を守ろうと飛び出して行く金五郎だった。
出典:映画.COM https://eiga.com/movie/38816/)
【キャスト】
監督:舛田利雄
出演者:石原裕次郎、浅丘ルリ子、岩崎加根子、ほか